9.01「暗闇1」

あらすじ

「取り憑かれてる私は一体……この世界に何を残す――」世界、停止。しばらく思考停止でご覧下さいな9話1節。

砂川を読む

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【鞠】

「…………って、ちょっと」

 あれ、何コレ?

 真っ暗なんですけど。

 何もかもが、もう兎に角、真っ黒なんですけど。

【ババ様】

「ぬぬぬぬぬぬぬぬぬ……」

【鞠】

「ババ様、これ何ですか」

【ババ様】

「何とは?」

【鞠】

「何処ですか此処」

【ババ様】

「紫上会室じゃろ」

 そんな阿呆な。

 此処、こんな生きてる感じまで真っ黒に塗りつぶしてくる恐怖空間ではなかった筈なんだけど。文化祭のあのお化け屋敷が生温く感じられる、ただ暗いってだけで心細さを全開に引き出してくるような場所では断じてなかったろう。

【鞠】

「ババ様には何か見えてますか」

【ババ様】

「真っ暗じゃの」

【鞠】

「何も見えない……ッそうだ、雑務!! いますか!!」

 私の、何だか曖昧で、溶けてるような感じのする記憶に頼るなら。

 彼は、彼らは居たはずだ……。

 多分だけど。

【鞠】

「雑務!! 副会長!! 書記!! 会計!!」

 紫上会室は、声がよく響く。

 だけど今この空間では、私の声が拡散されていく気配がしない。

 停滞し……目の前の闇に総てが呑み込まれ溶け消えていく……。

【鞠】

「ッ……雑務!! 居たら、聞こえたら、返事なさい!!」

 彼らは……果たして、無事なのだろうか。

 こんな空間に彷徨っているのは、私だけなのだろうか……?

【鞠】

「…………」

 ……だというなら。

【鞠】

「……きっと、その方がいい」

【ババ様】

「ん?」

【鞠】

「雑務たちが消息不明になるのと私が消えるのだったら……私が消えた方がずっとマシなんだろうなと」

【ババ様】

「鞠……弱気になるでない。心まで呑まれたら終わりじゃ」

【鞠】

「別にそんなつもりはありませんけど」

 何か、安心というか。

 確定ではないけど、彼らが今も普通に過ごして、世界が運転しているというなら……

 ぶっちゃけ、その方がいいんじゃないか、とか思う私だった。弱気というのとは違うけど、まぁ変な思考だと自分も思う。

 どうでもいい連中。

 恐ろしい存在わたし

 世界の平穏には、消えるべきはどちらか? そんな容赦無い二択があったなら……

【鞠】

「私とてモブですし」

【ババ様】

「……鞠」

 思うようになった。否、ずっと心にはあった筈だ。ずっと沈着していたものが、最近酷く膨大していて……だから思わざるを得ないというか。

【鞠】

「私は……果たして、誰かに望まれているのか」

 事実上、先輩の未来を束縛する私は。

 事実上、先輩との繋がりの切れた私は。

 この盤石の道を歩くにしても……その価値は一体何処にあるのか?

 鋪装のされた、必要充分の道を歩いた先に――私は何を求めているんだ?

【ババ様】

「…………」

 私が強く、求めた本当のものは。

 既にもう土に埋まった。手は決定的に届かない。ならば……

【鞠】

「取り憑かれてる私は一体……この世界に何を残す――」

【???】

「いたーーーーー!!!」

 ――思考が吹き飛ばされた。

 暗闇が、掻き混ざるように……その間を潜って私に届く、その声は。

【鞠】

「え――」

 何かに溶けかかっていた私を、確保する――

【笑星】

「よかったー鞠会長、いたよー……」

【深幸】

「あー生き心地しなかったー……いやそれは現在進行形だが……」

【信長】

「会長、ご無事で何よりです! ……無事なのかは分かりませんが」

【四粹】

「何にせよ、これで紫上会は再び合流できました」

【鞠】

「……………………」

 結局貴方たちもこっちサイドかいッ。

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