8.54「適切な選曲」

あらすじ

「私、全力を出し切ってきます……!! お互い、生きて帰りましょう……」砂川さん、大将戦。作者はカラオケ苦手ですが、歌うならまず手始めに国歌斉唱します8話54節。

砂川を読む

【司会】

「カラオケ対決だあぁあああああああああああ――!!!」

【鞠&英】

「「はぁ???」」

【観客】

「「「おおぉおおおおおおおおおおおおお――!!!」」」

 か……

 カラオケ、だぁ――?

【汐】

「鞠が歌うんですか!? 滅多に見れませんよ、そんなの!!」

【ノウェル】

「ああ、そっか。妹ちゃんだっけ👅」

【学長】

「カラオケ。若者らしい、清涼な歓楽を期待するところです」

 え……ホントに、そのカラオケ?

 私にソレをやれと!?

【鞠】

「全國放送、で……?」

【笑星】

「ああ、スクリーン越しでもおもっきし分かる鞠会長の真っ青!! ヤバいの引かれちゃったよ!!」

【冴華】

「というか普通の学生に音楽の町新崎屈指のライブ会場である武道館でカラオケさせる可能性を作った実行委員の思考がワケ分からないんですが……」

【深幸】

「しかも生放送だからな……」

【司会】

「ここにカラオケ装置がございます。カラオケ好きの皆さんなら見覚えありますよね、ハピサウンドです。しかし今、このハピサウンドはどこかのせまーいカラオケボックスには繋がっておりません。ここ、武道館にッ、繋がっているのだあぁああああ!!!」

【英】

「えぇえええええええええ……」

【石山】

「英ー、テレビ映ってるー、顔もっと引き締めろー」

【井伊】

「……誰ですかこんな種目入れたの……素人のカラオケ流されて喜ぶ視聴者そんな居ないと思うけど……」

【藍澤】

「CHKもよく許可したな……」

【石山】

「因みにカラオケ案出したの俺なんだよね」

【藍澤】

「期待を裏切らないなこのバ会長」

【琴竪】

「タマ副会長の運の無さも期待を裏切りません。もうこの時点で私は大満足なり。誠に遺憾ながら、最近タマ副会長が災難に追い掛けられてる姿を見るのが私の新たな趣味になりつつあります」

【藍澤】

「……正直私も逐一録画したい衝動に駆られるんだ。何であんなに可愛いんだうちの副会長は」

【井伊】

「何でこんなに酷い人ばっか集まるんだろタマ先輩の周り……」

【英】

「あはははは、カラオケですって。たのしんでいきましょうね、かいちょうさん」

 ああ……壊れ始めてる、この人……私も壊れそう……。

【司会】

「もうご察しでしょうが、1曲選んでいただき、点数高かった方が勝者です!! でもテレビを考えると、できればついでに踊って戴けるとテレビ映えします」

 だから私達素人だって!!

 私とこの副会長、黒歴史確定である。

【司会】

「では、時間は圧してるんですが1分程度、選曲タイムを入れます。先攻後攻はお任せしまーす」

【英】

「……早く終わりたいので、先攻してよろしいでしょうか……」

 あ、まだ理性が生きていた……。

【鞠】

「いや、私の方が早く終わりたいので」

【英】

「じゃあジャンケンですね……!!! 最初は、パー!!」

【鞠】

「必死過ぎる!!」

 いやまあ気持ちはいっったいほど分かるけども!!

 そしてやり直してもジャンケン、私負ける。私後攻に決定。

【英】

「私が、先攻、ですね……どうしよう……どうしたらいいでしょう砂川会長……」

【鞠】

「いや、そういうのは味方同士で相談するものでは」

 被害者っていう点ではこれ以上ない親近感だけどね。

【鞠】

「……バラードとガチのラブソングは絶対ダメですよ、地獄絵図になります」

【英】

「そんなの絶対歌いませんよ! 私、カラオケはそこまで経験無いので……」

 私だってほぼ無いわ。

【鞠】

「明るい曲なら、観客たちが勝手に盛り上がってくれるでしょう。若気の至りに全員巻き込むんです」

【英】

「な、なるほど……赤信号を皆で渡るんですね……」

 学生の代表の会話じゃないな、って思うけど状況が状況なのでやむなし、無礼講といこうじゃないか。私も何云ってるんだろうね。たいがい私も壊れてきてるのかもしれない。次鋒戦の時点で既に損傷受けたし。

【英】

「よ、よし……ならば……もう、あの曲しかない……」

【鞠】

「決まったんですか……」

【英】

「ありがとうございます、砂川会長! 私、全力を出し切ってきます……!! お互い、生きて帰りましょう……」

 だからそういうのは仲間内でやってって……。

【司会】

「先攻は――英さんだあぁあああああああああ!!!!」

【石山】

「よっしゃやったれ、英あぁあああああ!!!」

【稜泉学園】

「TA・MA!! TA・MA――!!!」

 ……副会長がステージの中央に立つので、私は一旦下りる。

【笑星】

「会長のカラオケ! 何か俺、楽しみになってきたよ!!」

【鞠】

「誰か刃物とか持ってませんか」

【深幸】

「いやいやいや殺人事件ダメだから、生放送!!」

【鞠】

「何勘違いしてんですか、私に使うんですよ」

【深幸】

「もっとダメに決まってんだろうが!!?」

【司会】

「さあ、曲は!!」

【英】

「チョリッスの、『ハリガネムシのディスコ』でッ!!」

【司会】

「最高に有名でハッピーな曲が来たーーー!!!」

 冗談はコレくらいにして……私も決めなくては。あの人がどんな曲を選んだのかにもよるけど、猶予は4分前後といったところか。

 その間に、私にとって、あと会場にとってベストな曲を導き出す――

【和佳】

「ねえね、お姉ちゃん。カラオケって、何?」

【冴華】

「ああ、和佳は知らないのね。えっと……私も実際経験は無いけど、簡単に云えば歌を歌うのよ。その際に、事前に用意された伴奏を再生するから、一時的に自分がミュージシャンになってライブを行っている気分になるの」

【和佳】

「へぇ~、鞠様、今から歌うんだ!!」

【鞠】

「グサリ」

 迫り来る現実を家族から叩きつけられる。

 怖いよぉぉぉぉ……。嫌だよぉぉぉぉ……。

【笑星】

「俺もあんまり行ったことないんだよねー……お金かかるし。茅園先輩は?」

【深幸】

「璃奈と瑠奈連れて、よく行くぜ。もっぱらアニソンだな」

【信長】

「一般人の慣れ親しんでるカラオケは基本的に自分が歌う為にあるからな、用意されてるのはボーカルのある曲だな。井澤先輩と行った時には、紫上学園の校歌とか入ってないかと調べてみたが、無かった……」

【冴華】

「態々お金払ってカラオケ行ってまでチョイスする曲じゃないでしょう……しかし、有名なものであれば、クラシックも入っていることがあります」

【和佳】

「歌、ないのに?」

【冴華】

「楽器の練習目的でカラオケを利用する演奏家も結構居るのよ」

【鞠】

「ッ……」

 楽器――

表彰状

 そうだ。

 確か、あの時も、私は――

【鞠】

「――!! 画伯、貴方は天才です!!」

【和佳】

「え?」

【笑星】

「ちょ、会長!? 何処行くの!? もしかして体調限界!?」

【鞠】

「控え室! 戻って来ます。サレンダーはしないので、訊かれたら何か誤魔化しておいて!!」

【笑星】

「指示がアバウト!!」

 控え室までの距離は結構ある……走って行かないと、間に合わないかも知れない。

【鞠】

「ぅぅ……気持ち悪い……!」

 ダメージが可成り響く……けど、この対決において、私の最適は……。

【鞠】

「…………慣れないことは、するべきじゃない、から」

 あの曲、しかない――

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