8.52「冷徹アツアツの意志」

あらすじ

「故に――矢張り全力で、お前を倒すんだぜーーーー!!!」海賊王、敵にプレッシャーをかけます。今更ですが琴竪は「ことだて」と読みます8話53節。

砂川を読む

【笑星&琴竪】

「「いざ、4問目!!」」

【司会】

「コレで決まるのか!? 第4問!! 科目は理科!!」

 ッ――!!

【笑星】

「てやああぁあああ!!」

【司会】

「ぴこんしたのは――堊隹塚くんだあぁああああああああ!!!」

【深幸】

「おお!! ……何だアレ?」

【笑星】

「ハルキゲニア!!!」

【司会】

「審査員、どうですかーーー!!!」

【汐】

「笑星くんって時点でOK!!!」

【在欄】

「尺が圧している」

【学長】

「面白い形状してますよね」

【司会】

「3人が札を上げたーー!! 堊隹塚くん、1ポイント獲得ぅううう!!!」

【紫上学園】

「「「おおぉおおおおおおおおおお――!!!!」」」

【笑星】

「はぁ……はぁ……――よし!」

 さあ、こっからだ……!

 松井先輩の真似だ、逆転劇といこうじゃん!!

【ノウェル】

「ハルキゲニアは毘華南海あたり中心で化石が確認されてる遙か古代に生息してたっぽい葉足動物。全長は3センチあれば大きい方かな、足は7対細長く揃ってて、背中からは足の数くらい棘が並んでて、不思議な形状だよねー。因みに最近彩解大陸北海でコレに非常によく似た生物が確認されたらしくて、ハルキゲニアじゃねって学会で騒いでる。……ぐらいまで解説できたら札上げるね👅」

【帯刀】

「名前の由来だけど、「幻覚現象hallucination」っていう表現から来てると云われているね。多分夢の中でなら遭遇するかもしれない、そんな不思議な形状に敬意を表したんじゃないかな。……ぐらいの考察まで紹介できたらパーフェクト☆」

【笑星】

「き、厳しい……!!」

 問題文から考えてそんなの要らないと思うんだけど……!

 でも……俺の場合は答えれば確実に1つ札が上がるようになってる。それとあの岐部先輩も、学長も、正答を云えば普通に上げてくれると思う。

 その点では琴竪さんよりも有利だ……!

【笑星】

「よし来い!」

【司会】

「第5問――家庭科の問題!!」

 グッ……また出た、実技科目……!

【琴竪】

「…………」

【笑星】

「(もういっそ、分からなくても先に押すべきかもしれない……!)」

 分かってても先に押せなければ負けるのだから。

 兎に角――

【笑星】

「早く押すッッッ!!!」

【司会】

「ぴこんいったーーー!! 堊隹塚くん、またしても先制! しかしこの問題、どちらかというと明らかに女性向け!!」

【石山】

「琴竪なら知ってそうだな」

【藍澤】

「どうなんだ」

【琴竪】

「……そんなの知ってどうするという話ではあります」

【藍澤】

「は?」

【琴竪】

「だってもう、平均以上はあるのに。寧ろ邪魔で要らないぐらいなり」

【藍澤】

「よし、降りてこい引き千切ってやろう」

【井伊】

「素が出てます藍澤先輩ッ!! テレビ映っちゃいますからッ!!」

【石山】

「何にせよ捨て問題かぁ。んじゃ、後は堊隹塚がちゃんと答えちゃわないのを祈るかぁ」

【井伊】

「いや抑もコレ、学科としての家庭科の問題なのかな――」

【笑星】

「ボロンを取るんだよ。ボロンは、確かー……ホウ素の一種で、きゃべつやりんご、海藻類とかに多く含まれてるんだ。女性ホルモンのエストロゲンの分泌を増やすだけじゃ無くて、胸の脂肪も特に増やすっていう優れもの。でも注意しなきゃいけないのは、ボロンは熱に弱いんだ。だから、できるだけ生で食べるのがオススメだよ!」

【司会】

「パーフェクトぉおお札が総て上がったあぁあああああ!!! 瞬時にして琴竪さんと並んだぞおぉおおおおお!!!」

【紫上学園】

「「「おおぉおおおおおおおお……!!!!」」」

【井伊】

「――って答えたぁ……!?」

【石山】

「おっと同点になっちまった。流石、紫上会ともなるとそう簡単には事は運ばないか」

【笑星】

「やったーーーー!!!」

【和佳】

「すごーーい!」

【冴華】

「ええ……凄いですね……でも何でそんな知識持ってるんですか彼は……」

【深幸】

「異様に詳しかったの、ちょっと怖いんだが……」

【司会】

「釈明しとく?」

【笑星】

「え? ……ああ、それは、ね――えっと、家ぞ――いや……知り、合いがッ!!! この前調べてメモってたの見せてもらって、あはははラッキーだったなぁ」

【深幸】

「……………………」

【信長】

「……………………」

【冴華】

「…………「家ぞ」ときたら、「家族」、でしょうね」

【深幸】

「「ね**」を「家族」って云い換えたんだから……」

【信長】

「……「姉ちゃん」?」

【紫上学園】

「「「(ゾワッッッ――)」」」

【笑星】

「……あれ? 皆、どうしたの?」

 折角、同点に追い付けたんだ。

 勿論そっから逆転するつもりでいるけど、現時点でももっと盛り上がっておこうよ。ソレが、俺の力にもきっとなるんだから。

【笑星】

「これで、お互いあと1問!」

【琴竪】

「ふむ。想定していない熱い展開に回ってしまいました。しかしあっぱれ、ガッツがあります、堊隹塚笑星、貴方もこの将来の海賊王の仲間候補に入れましょう。ですが――」

【笑星】

「……ですが?」

【琴竪】

「――荒波の上で、勝つのは海賊王なんだぜ。追い込まれて力を発揮するのは貴方だけじゃないということです」

【笑星】

「……へへ、何かほんと、クールなのか熱血なのか、どっちかにしてよ! もう俺、琴竪さんのこと全然分かる気がしないよ!!」

【琴竪】

「その不理解に附き合う理由は皆無であり、海賊王はほしきままに突き進む。正味稜泉の期待及びテレビ映えなど、甚だどうでもよし。しかれども――この舞台での己が活躍は、人を集める強力な効果が見込めるんだぜ!!! 故に、利用するんだぜ!!」

【笑星】

「…………」

【琴竪】

「故に――矢張り全力で、お前を倒すんだぜーーーー!!!」

【稜泉学園】

「「「はっこちゃあぁああああああああん!!!」」」

【琴竪】

「――でなければ、いざという時に怖じた格好の悪い奴の所属する生徒会、と評されてしまいます。私自身は構わないものの、仲間候補であるバカヒロやユラ、あとついでにココアとタマが被ることを私は良しとはしないみたい故」

 ……強い。

 ワケ分かんないけど、この人には迷いが無いってことだけは分かる。石山先輩並み、いやそれ以上に、大舞台とか関係なしに自分を発揮し尽くしている、そんな感じだ。

 そんな人を俺は知っている……そういう人を、紫上学園では勝者と呼ぶし、場合によっては「覇者」とも呼ぶ。

 この人は、その類いの人間なんだ。

【笑星】

「……ううん」

 それでも。

【笑星】

「ごめんね、勝つのは、俺ッ!!」

 同点にまで追い付いた俺の自信は、揺るがない。

 だって俺だって……ただ何もせず紫上会で過ごしてきたわけじゃないんだから。

【司会】

「さあ、泣いても笑っても!! ……最後になるかは分かりませんが、副将戦クライマックスだあぁ!! いでよ、第6問!! 教科は――数学!!」

【男子】

「ッ……よりにもよって堊隹塚が苦手な科目じゃねえか!」

【男子】

「ちゃんと勉強してきたんだろうな……! 試験の成績は少しずつ上がってるっぽいけど……!!」

【男子】

「頼む、易しめの問題来い!!」

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