8.50「バカばっかりの私の道」

あらすじ

「……独りで傷付くのも、禁止」冴華ちゃん、振り返ります。誰かと共に、一所懸命にやってきた人にはきっと必ず、誰かと居るからこその恩恵が宿るのだと信じたい8話50節。

砂川を読む

【司会】

「ッッッッォォォォォオオオオオオオオオオオオオッ、判決ゥウウウウウウウウ――!!!!」

【在欄】

「……結局長引いたか」

【帯刀】

「価値あるものに時間は置かれるものさ」

【ノウェル】

「申し訳ないけど……満場一致👅」

【司会】

「5対0――勝者、紫上会元雑務・村田冴華あぁああああああああああ!!!」

【観客】

「「「おおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお――!!!!!」」」

【深幸】

「……ステージ上がらせたの俺だけど、無茶し過ぎだろアイツ……何か心臓止まりそうだったんだが……」

【信長】

「同感だ……しかし、そうか。それがお前の見つけた、新しい自分なんだな……」

【笑星】

「ナイスファイト、村田先輩ーーーー!!!」

【冴華】

「……ははは……」

 ……疲れた……。

 というか、本当にやっちゃった……。

【和佳】

「…………」

 どうしよ……客席の方、帰りづらいな。

 妹と、どう話せばいいんだろう。私史上初めて抱くかもしれない悩みだった。

【井伊】

「……村田先輩」

【冴華】

「……え? な、何か」

【井伊】

「別に大した用は、ないですけど……まあ、負けたってゆーか」

 ……彼女の話は、私なんかよりも素敵だったのだから、私が勝ちというのはあんまり私自身納得できているわけではなかった。

 でも彼女は、そうでもないらしい。

【冴華】

「何か……ごめんなさい」

【井伊】

「……お互いやったのは正攻法だし。ちゃんと成立してた勝負、ついた勝ち負けに不満はないし。先輩の方が規模もインパクトも上だった、それだけで潔くなるのに充分だしっ」

【冴華】

「お、男前ですね……」

 ヤンキー口調は本当に似合ってないけど……。

【井伊】

「でも……事情はよく知らないけど、大変なことぶっちゃけて。荒れちゃったら、とか考えなかったんですか……?」

【冴華】

「……私にはそれが相応。それに、今までずっと痣を作ってきたんです。何かを受けるのには、慣れています」

 咎を持つ者として、甘んじて。

 茨の道へ行こう。

【井伊】

「――そんな、気を入れるところ、ですかね」

【冴華】

「……え?」

 しかし井伊さんは、そんな私の決意に、素で不満を持つようだった。

【冴華】

「どこか不適切か不足がありますか……? できれば教えていただきたいですが……」

【井伊】

「いや、そういうのじゃなくて……先輩の理論はよく分からないけど。勝手な意見ですけど、村田先輩は……そんなことしなくても、普通に幸せになれるって、思いますけど」

【冴華】

「…………え――?」

【井伊】

「……後ろ、見てください」

 云われた通り、和佳たちの方を向く。

 そして――

【冴華】

「え――え――?」

 私の目に、映る。

【女子】

「村田ーーーー!!! 考えすぎーーーーー!!!」

【女子】

「私ら普通に村田で着せ替えしてメイドやらせて楽しかったよーーーー!!!」

【女子】

「これからも、よろしくーーー!!!」

【六角】

「村田あぁああああああああああああああ!!!! お前、そういうのもっっっと早く云えよおおおぉおおおおおおおお!!! また心残りできたじゃねええかああぁああああああああ!!!」

【菅原】

「ま、六角がやるべきだった分は全部あの子が片付けてくれたってことね。巡り会いは大事にしないとね、村田」

【邊見】

「……もう、間違えちゃダメだよ先輩――? ふふっ……」

 見える。

 聞こえる。

 ――私を包む、私の居る場所。

 優しい、世界が……

【冴華】

「――何で――」

【井伊】

「何ででしょ……多分、ですけど。その答えは深く考えても、無駄なんじゃないかって。私の時も、そうだったし……それに、それよりも大事なのは――」

【琴竪】

「まあ当初の予定通り。個人的にはイイものを納められたから及第点なり」

【石山】

「俺莫迦云われ損かぁ」

【藍澤】

「いや、番組的には相当オイシイ映像になったかと」

【井伊】

「……どうしようもない自分っていうのを、何故か受け入れてくれる人が居るのは……本当に嬉しいことじゃないかって」

【冴華】

「…………」

【井伊】

「そんなワケの分からない人が、こーーんなに、居るっていうなら。だから……まあ、なんというか、大丈夫ですよ。えっと、失礼します」

【冴華】

「……とう…に…」

 ……本当に。

【冴華】

「本当にッ……バカ、ばっかり、なんだからッ……!」

 うん……歩ける。

 こんなどうしようもない私だけれど。私はこれから、きっと歩いて行ける。

 私の周りには、これだけの強者たちが揃っているのだから――

【和佳】

「おねえちゃ~~~ん……💢!!!」

【冴華】

「あ……」

 ――忘れてはいけない。それ以前に。

【和佳】

「今後ッ、和佳に隠しごと、絶対禁止~~~~!!!!(←ハグ)」

【冴華】

「……ごめんね、和佳。ビックリ、させちゃって」

【和佳】

「皆を虐めるのも禁止ーー!!」

【冴華】

「分かってます」

【和佳】

「鞠様、虐めるのも!!」

【冴華】

「絶対しません」

【和佳】

「……独りで傷付くのも、禁止」

【冴華】

「…………」

【和佳】

「独りで勝手に何処か行っちゃうのも禁止」

【冴華】

「……そう、ね」

【和佳】

「隠し事……ホントのホントに禁止、だからね。」

【冴華】

「大切なもの、見逃してたかも……」

 流石、粗悪品の私。

 これまでもこれからも――私の隣には、一番大切な和佳。

【冴華】

「これからも……いっしょ」

【和佳】

「うん――いっしょ」

 和佳の足に荊が刺さるのは嫌だから……もっとしっかり、考えないとね。

 私達の道を、私達の足で歩いて行こう。

 

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