8.45「まごころをこめて」

あらすじ

「先手先手ぇ、有無を云わせず崩し潰す。それが稜泉スタイル」魔王信長、宿敵と火花散らします。作者は料理完成5分前になって計量カップの見方を間違えてるのに気付いて手遅れだった8話45節。

砂川を読む

【司会】

「愛情料理対決だあぁああああああああああああ――!!」

【観客】

「「「いええぇええええええええええいいぃぃぃぃ――!!!」」」

【紫上会】

「「「――――」」」

 紫上会、見事に絶句。

 最悪のカードが確定した。

【司会】

「そのルールを説明します。指定されたお題を、こちらが用意した食材を使って一品、料理を作ってもらいます。それを、生徒会メンバー2人に食べてもらって、審査員の心を掴むグルメリポートが出来た側の勝利としますッ!!」

【鞠】

「いやソレ最早2人の対決じゃなくなくなって……いやそんなことより――!」

【笑星】

「それつまり、松井先輩の料理を確定で俺らの中から2人食べなきゃいけない――」

【深幸&四粹】

「「……………………」」

 テレビとか気にしてられない、命の危険を共有する私達だった。

【司会】

「では、これから2つの抽選をします。まずは……お題を決定!!」

 また別のボックスを用意した司会が手を突っ込み……そして1枚の紙を掴み出す。

【司会】

「――カレー!!! ごめん、普通のやつ引いちゃった!!!」

 割と失敗してもそれなりに出来上がるやつだ……不幸中の幸いというべきか……。

【司会】

「では続いて……各生徒会、リポート側を選定します!」

【鞠】

「ちょ――ソレまで」

 新たに用意された2箱。

 うち1箱に手を突っ込み――

【司会】

「紫上学園側、リポーターはこの2人だ!!」

 2枚、すなわち2人を掴み出した……。

 「砂川鞠」「玖珂四粹」

【鞠&四粹】

「「――――」」

 私が一体何をしたんだ――

【ババ様】

「……信長の料理が、再来するのかの……」

 あの夜を引き摺ってるらしいババ様、唐突に元気を失くす。私も憔悴していってる気分だ。

【司会】

「一方稜泉側からは――「英環」「藍澤結晶姫」!!! さあ両者、日頃の感謝を籠めて2人に手料理を振る舞うのだあぁああああ!!」

【石山】

「料理かぁ……信長は嗜みあるわけ?」

【信長】

「いいや、お世辞にも上手とは評されないな……石山は?」

【石山】

「経験ほぼ皆無。つまりお互いの経験量に差は無い。なら勝敗を分かつのは、家庭科のセンスと――」

【信長】

「勝利の執念、そして仲間へのおもてなしという魂のスパイスだッ!! 全身全霊でッ、お前にこの俺の料理をかましてやろう!!」

【鞠】

「いやかまされるの私たちッ!!」

【ババ様】

「かまさないでーー全身全霊はやめるのじゃ信長ーーー……(泣)」

 無慈悲。一切の滞り無く設置されてしまった特設料理ステージにて、料理開始のゴングが鳴った……。

【信長&石山】

「「ッ――!!!」」

 開始のゴングと同時、2人は食材置き場のテーブルへ。目にも留まらぬ速度で食材を調達し、己のキッチンへと戻っていった。

【四粹】

「……2人とも、もうどんなレシピでいくかが想定されているようですね」

【深幸】

「ヤベえ……下手すると生放送で死人が出るぞ……」

【笑星】

「い、いや、でもカレーだよ? 最強の大衆料理だよ? 幾ら何でも決定的に手順とか間違えないでしょ、野菜切って、炒めて、ルー入れたら取りあえず安全圏だよ?」

【深幸】

「まあこの前のクリームシチューは冒険し過ぎてたし、信長も反省してたから、酷い出来にはならない……と信じたい」

【四粹】

「……相手がたは、どうでしょう」

 と――会場がいきなり騒然とする。

【司会】

「な……何だとおぉおおおおおお!?!?」

【鞠】

「ど、どっち……!?」

 どっちがやらかしたの!?

【石山】

「いつだって、先手先手ぇ、有無を云わせず崩し潰す。それが稜泉スタイル」

【司会】

「石山くん――もう鍋にカレールーを投入しましたあぁあああああ!!! でも見たところ鍋に水入ってない!!!」

【英】

「ちょおぉおおおお!!?」

【石山】

「さあ、まだだぜ、先手2連コンボといこうや!!!」

【司会】

「早々に煮込む段階に入った石山くん、その上からにんじんたまねぎじゃがいもをぶち込んだーーーー皮すら剥いてないッ!!!」

【四天王】

「「「――――」」」

【稜泉生徒会】

「「「――――」」」

 死人が出るのはアッチかもしれなかった。

【藍澤】

「おいこのバ――コホンッ、か、会長!? 調理実習の経験おありですよね!? そんな大胆な料理見たことありますか!?」

【石山】

「稜泉野球部の基本精神「慣れないことはやらない」――!! 信じるべきは、今までの経験のみよ!!!」

【英】

「藍澤先輩……会長は1年の時に、調理室出禁です……」

【藍澤】

「…………あ……遺書書かないと……」

 誰も得しないつくづく最悪な対戦カードだった。

【笑星】

「……おっと……これ松井先輩、勝てるかもしれない……」

【深幸】

「しめたぜッ、信長は野菜はちゃんと切るからな!!」

【信長】

「はあぁああああああああああ――!!!」

【司会】

「一方松井くんはちゃんと水洗いして皮を剥いた野菜を、包丁で一刀両断していくー!!!」

【鞠】

「よしよしよしよしよし……」

【ババ様】

「このままじゃ、このままじゃぞ信長、後生だから……!」

【四粹】

「コレは……ちゃんと、カレーになりそうですね……」

 お願いだから……。

【信長】

「会長にッ、貢献するカレーを、導き出せ松井ぃいいいいいい!!! そして勝利しろ信長ああぁあああああああ!!!」

 お願いだから、産廃はやめて……!!!!

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