8.03「打ち合わせ」

あらすじ

「文化祭、コラボしね?」砂川さん、次なる大型イベントの準備に徹します。が、再びあのバカ野郎の登場で彼女の日常がまた荒れます8話3節。

砂川を読む

 まあ朝はそんな感じでちょっと警戒しなきゃいけなかったりもするけど……それ以外は特に変わらない、紫上学園生活。云っておくがこの日常は断じて私の好む環境ではない。

 それでもあんな張り詰めた空気に比べたら幾分マシなのは間違いない。このままあと半年ぐらい、ずっと何も大事が起きないことを祈るばかりだ。

Time

16:15

Stage

7号館 応接室2

 さて、そんな落ち着いた2学期の放課後。この日は7号館2階の応接室で絶賛会議中だ。

【実行委員】

「完璧に仕上げてきてるね、流石紫上の会長……いや去年の会長は随分ガバガバだった覚えが……全部雑務の子が調整してたか」

【鞠】

「去年の会長は極めて独特だったというだけです。基本的には仕事できる面子ばかりが集まってるはずなので」

【笑星】

「でも俺らに仕事させてくれない」

【鞠】

「今年は私と副会長ぐらいしか仕事できる人が居ない、これはこれで独特な年度だというだけです」

 しかし何で雑務を連れて来ちゃったかなぁ。わざわざ向こうから数名来てくれてるので私1人だけでお出迎えというのもどうかなと考えて、せめて誰か連れて行こうかと考えた結果、こうなったのだけど。

 ……会計の方が百歩譲ってまだ役立つ気がする。

 と、こちらのお出迎え体制はさておき、今何やってるのかというと文化祭の最終調整だ。此処にいらすのは此処の文化祭実行委員ではなく、武蔵大の文化祭実行委員。

 最終調整しているのは、お互いの文化祭に組み込まれているプログラム「連携」についてのこと。確認だけならこの先もいっぱい機会は作れるが、何をやるのかどんな感じにやるのかを徹底して話し合えるのはこの時期が〆かなとお互い考えている。

 別に何か大層なイベントを設けるわけではないので、私は過去の連携イベントを参考、というか最早コピペの要領で計画を組んだら普通に高評価されてしまった。ちょっと楽してしまった。去年の雑務さんにちょい感謝。

 ……あとそれから、私は確認しておきたいことがあった。

【鞠】

「一応連携式やミスコンなどには立ち会う予定ではいますが、私には別のイベントが入っているので全てに立ち会うのは不可能です。そこは大丈夫ですか?」

【実行委員】

「問題無いよ。開会の言葉さえ戴ければ、あとは何とかなるなる」

【笑星】

「あれ、鞠会長何か他にやることあるの当日? 俺らは普通に巡回だけど」

【鞠】

「……まあ、武蔵大に別の用件でお呼ばれしているので」

 紫上会会長としてではなく、バイオリニストとして。

 ここを説明する必要は別に無いだろう。

【実行委員】

「……とまあ、こんぐらいかなぁ。俺たちとしてはもうひとスパイス欲しいところなんだけど」

【鞠】

「一大イベントにアドリブをかますのは無責任で危険じゃないかと」

【実行委員】

「今年はお堅い会長さんで助かるなぁ。ははは」

 いやコレが普通でしょ。

 去年はよく何事もなく終わったものだと隠れて溜息をつく。

 ……今年も、何事もなく終わってください。

【信長】

「――失礼しますっ、会長」

 と心で祈祷した途端に書記が応接室に殴り込んできた。

【笑星】

「あれ、松井先輩どしたの」

【鞠】

「見ての通り知っての通り武蔵大の方々と会議中なんですが」

【信長】

「申し訳ないです……ただ、ちょっと、別のお客が……」

【鞠】

「……は?」

 別の客?

 そんなの、約束した覚え無いんだけど……。

Stage

野球部グラウンド

 約束してないなら、許可してないなら、その外客は侵入者と大差無いだろう。

 私たちはその侵入者がいるという、野球部のグラウンドを訪れた。

【鞠&笑星】

「「…………」」

【石山】

「ほらほら、取ってみんしゃーーい!! そんなんじゃ来年も信長の足手纏いだぞーー!!」

【野球部】

「こいっつ、いきなり入ってきてこの荒らし!!」

【野球部】

「上等だゴラあぁああああああ!!! 全部獲ってやるから泣いて帰りやがれえぇえええ!!」

【野球部】

「松井だけじゃないってことその平和面に叩き込んでやらあぁああああああ!!!」

 侵入者発見。

 早速うちの学園生と馴染んでいた。

【信長】

「…………何でお前がうちのグラウンドでノックやってるんだ……」

【石山】

「お、信長じゃーん。久し振りー」

【信長】

「久し振りというほどでもないだろ。あと馴れ馴れしい」

 どうやら私の見間違いとかでもなく、奴らしい。

 ……となると……。

【英】

「す、砂川会長……! 御無沙汰してますすみませんっ」

【鞠】

「やっぱり……」

 何となくだけど居ると思った。

 私としては忌まわしい思い出の1ピースな稜泉学園のお2人だ。

【実行委員】

「ほう、あの石山博樹か……! まさかこの至近距離で拝める時が来るとは」

【実行委員】

「しかも松井信長との2ショットだもんなぁ。サイン貰っとこうかな」

【鞠】

「……何しに来たんですか。しかもアポなしで」

【英】

「すみまっっせんっっっっ!!!」

 105°はありそうな深々な謝罪が炸裂した。

【石山】

「英は悪くねーよ。俺が云い出しっぺだし」

【信長】

「なら云い出しっぺ、どうしてアポを取らなかった」

【石山】

「やり方が分からなかったから時間の無駄かなって思ってそのまま来た」

【英】

「止める時間もありませんでしたすみませんっっっ!!!」

 ……この会長もどうやら周りが支えまくって何とかやっていけてるようだった。

 副会長さんが180°頭下げる前に状況を進展させよう。

【鞠】

「此処に居ると野球部の邪魔でしょう。何か話があるなら場所を変えて聞きますが」

【石山】

「文化祭、コラボしね?」

 だから場所を変えるって云ってるのに!!!

 ってコラボ?

【野球部】

「文化祭コラボ……?」

【野球部】

「稜泉の文化祭っていつなんだよ?」

【石山】

「にじゅうななはち」

【野球部】

「俺らと同じじゃねえか……!!」

 ……あれ、ちょっと待って嫌な予感。

【野球部】

「おっしゃあ文化祭でこの前の借りを返してやるよおぉおおおおおお!!!」

【野球部】

「俺らにわざわざノーアポで喧嘩売りに来たの後悔させてやるよおぉおおおおお!!!」

【信長】

「いや野球の借りは野球で返そう」

【笑星】

「でも……何だかそれは面白そうだね!! コラボ!!」

 ちょっと待ってーーー???

【実行委員】

「おお、稜泉と紫上のコラボ! これはさぞかし盛り上がるぞー。しかしだな――」

【実行委員】

「俺らも混ぜろーーーーぃ!!!」

 待ってええぇええええ!?!?!?

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