7.29「早期決着へ向けて」

あらすじ

「行くか」砂川さん、より積極的に動き始めます。今回は短いですが、次回からまた厄介な話が続きます7話29節。

砂川を読む

Time

8:30

Stage

紫上学園 2D教室

【鞠】

「……ふぅ」

 何とか間に合った。ちょっと遅刻する覚悟はしてたんだけど、姉妹を放ってメイドと登校するとなった途端、メイドがいつものドライブテクニックを発揮してきた。

 ハイキングやドライブの時は絶対にあれらテクニック全て封印させなくては。

【信長】

「おはようございます、会長」

【鞠】

「…………」

 書記から、挨拶と一緒に紙を渡される。

 裏返すと……中々の長文。

【鞠】

「……受け取りました」

 周りからすれば紫上会的なやり取りとしか見られないだろう。

 でも実際そんな仕事のものではなくて、パニック回避の為のコミュニケーション方法だ。

【鞠】

「えっと……」

 今、書記ら3人、そして事情を知ってる精鋭メンバーは副会長の不在と村田冴華の負傷が関連付いて学園中が不安に包まれないように、フライング消火活動に徹している。

 ここにはその内容や結果が記されていた。

【鞠】

「…………」

 元会長が何か思い切って、「四粹は今家族旅行真っ最中なんでしばらく来れねーんだとさ!!」とか云ったらしく、周りはもうそれに合わせたと。何故思い切った。もっと皆で話し合ってから実行してよ。

 ただまあ彼がこの学園で圧倒的人格者であることは事実。しかも副会長と最も親友である彼がそれを云っているのだから間違いないんだろうという強力なフェイクがパニックを潰しているのも事実。書記の判断は見事功を奏したようだ。

 だけど、どう足掻いても完璧にはならないだろう。文化祭で忙しい月だし、詳細は把握できなくても村田事件が起きたばかりで動揺せざるを得ない学園の状況、あの責任感の強い副会長がそんな中で家族旅行に出掛けるだろうか? ていうかなんでソレを親友には伝えても学園には伝えていなかった? この忙しい9月に出掛けるというなら事前に学園とやり取りするんじゃないのか? 出し物準備もあるし、元会長以外のクラスメイトとかにも伝えるんじゃ? ……などなど、ごもっともな疑問が浮かび上がっているらしい。

 家族旅行の内容や背景にまだ言及していないから、取り繕って押し通すことは可能だろうけど……文化祭が近付くにつれて副会長が帰ってこないことへの不安感はいずれ家族旅行という理由で抑えきれなくなるのは想像に難くない。

【鞠】

「……矢張り、時間が無い」

【秭按】

「ごきげんよう。全員、揃ってるわね。ではHRを始めます」

 私自身の身の危険もあるし、実際今朝は危なかった……らしい。

 だから控えたい気持ちもあるけど……それでは私に不利な展開がどんどん膨らんでいく。

 なら、怖いが……勇み進むしかない。今朝で「朧」の実力を思い知ったわけだし、彼らをもっと利用して、どんどん進むしか。

 私を襲ってきたなら、「朧」が彼らの首を狙える。二重の意味でも長引かせない効果的な調査。

【鞠】

「行くか――副会長の家に」

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