6.42「まだ会長が」

あらすじ

「さっきの長い地震……もしかして、玖珂くん達を運んだ物体だったんじゃ」3生徒会、希望が見えてきます。でもミマ島そのものが危なすぎる6話42節。

砂川を読む

vsother

Time

17:00

Stage

ミマ町村部 役所

【秭按】

「……!!!」

 地響き……それも、長く、強い……!

【秭按】

「机の中にッ!! クッ……!」

【井伊】

「わあぁああああああ!?」

【深幸】

「ッ掴まれ!! こっちに!!」

【涙慧】

「……! う、うん……!」

【杏子】

「おいおい、地震か……? また土砂崩れ起こす気かこの島は……!!」

【秭按】

「こうなると、捜索の打ち切りは確定的ね……」

【笑星】

「そんな……ッ! ――ととと!?」

【信長】

「っと! やむなし、か……(←笑星キャッチ)」

 ……数分、続いた。

 収まり、皆机などから出て立ち上がったところで、大人たちが入ってくる。

【大人】

「大丈夫か!」

【秭按】

「ええ、何とか……」

【大人】

「何だったんだ今の揺れは……こんなの初めてだ……」

 そうか、この島はあまり地震の経験が無いのかもしれない。つまり、こういう時の対策を知らない恐れがある。

【秭按】

「一旦、外に出ましょう。建物が倒壊する恐れがあります」

【大人】

「お、おお、確かにそうかもしれんな……皆さんを頼む! 俺は外に出るよう云って回るから」

【大人】

「頼んだぜ」

 しかし……この島の何処が安全なのか、分からない。例えば津波の恐れがあるなら、高いところに避難しなければいけないけど、この島の高度となると殆ど山場。コンクリートの支配する領域じゃない。となると……地盤の崩れに巻き込まれる恐れとぶつかる。

 私は一旦、この島から全員脱出すべきだと思う。今の地震で果たして島民の気は変わってくれただろうか――?

【大人】

「ッ――た、大変だぁ!!!」

 と、また別の人が飛び入ってきた。

【大人】

「どうした? 外出ろって云われたろ」

【大人】

「み……見つかった……」

【秭按】

「え?」

【大人】

「3人、見つかったんだ――!!」

     

Stage

ミマ島 埠頭

 ……私は、それを聴いて。

 これを見て。

 最初に、こう呟いてしまった。

【秭按】

「――どうして……?」

【笑星】

「く……玖珂先ぱあぁあああああああい――!!!!」

【苺花】

「亜弥ちゃあぁあああああん!!!」

【藍澤】

「英くん!! 英くんだ……よかった……本当に、よかったっ……!!」

【町長】

「おおおおお……ミマキ様の、救いの手だ……!」

 喜ぶべき事態だ。

 全く消息のつかめなかった3人が、戻ってきたのだから。

【四粹&亜弥&英】

「「「…………」」」

 だけど、コレはおかしかった。

【杏子】

「どうなってるんだ……」

【秭按】

「3人とも、自然公園部で消息不明になった筈……なのに、どうしていきなりこの港に現れるの?」

 既に他の生徒会を乗せた島の船が出発した後の港にて、現れた3人に詰め寄る。

 ……皆が囲む。

【井伊】

「よかった~~~~~(泣)心配したんですからぁ~~~(大泣)」

【英】

「ご、ごめんココアちゃん……本当に、ごめんなさい……」

【井伊】

「会長、ほら、タマ先輩!! ホントに、本当に帰ってきた先輩――」

【石山】

「…………」

【琴竪】

「……バカヒロ? どうし――」

【英】

ッ――!?

 石山会長が、英副会長を抱き締めた。触れられる。つまり、幻などではなく本物。

【石山】

「――よかった――」

【英】

「か……かい、ちょ――」

【石山】

「いるんだな……英、お前、帰って、来たんだな――?」

【英】

「は、はははいっ! その、す、すみませんでした……!」

【石山】

「……ホントだよ……突然、いなくなんなよ、俺、マジビビったんだからな――」

【英】

「……会長……はい、すみませんでした――」

 会話も成立している。本人だ。

【堀江】

「おぉおおおおおおおよくぞ~~~帰ってきてくれたね~~~(激泣)」

【藍澤】

「ふぅ……英副会長、見たところ可成り怪我されてますよね。お身体の方は、どうですか……?」

【涙慧】

「亜弥も! 亜弥も、大丈夫?!」

【英】

「あ……はい。彼方此方痛いですけど、大きな怪我はしていないんじゃないかって」

【亜弥】

「私も同様です。……皆さん、大変ご迷惑をお掛けしました……」

【涙慧】

「許さん、有罪、抱きしめさせろ……」

【苺花】

「ま、まあまあ、亜弥ちゃんも身体痛いって云ってるから……」

【杏子】

「この場で診てやることもできるが……そこの玖珂くんとやらは、今すぐスカブリの病院に向かうべきだろうな。骨折してるだろ、脚」

【四粹】

「……はい。右脚を」

 ひとり座り込んでいた玖珂くん。その理由は、脚を骨折していて立てなかったから……。

 その怪我を考えると、矢張りあの森に入っていた。間違いなく。

【亜弥】

「その、四粹さんと鞠さんは、土砂崩れに巻き込まれそうだった私達を必死に助けてくれたんです……沢山庇ってくれて、その所為で多く深い傷を……」

【四粹】

「あまり、悔やまれないでください。自身の怪我です、故にこれは手前の落ち度……手前も皆様に大変ご迷惑を掛けてしまいました……申し訳ありませんでした」

【深幸】

「先輩、今はそんな謙遜とかいいから! ああほんと、よかった……」

【信長】

「無理し過ぎですよ、先輩……らしいといえばらしいですが」

【四粹】

「……………………」

【信長】

「……どうか、しましたか?」

【四粹】

「あ、いえ……何でも。それよりも――会長です」

 そう。気になっていることはもう一つある。それについては生徒たちも皆、無視して喜んではいられない大きな事実。

 ――砂川さんが、いない。

【笑星】

「先輩、鞠会長と一緒だったんだよね! 何処に居るか、分からない!?」

【四粹】

「先ほどまで、ずっと一緒に……地下の、あの場所までは……」

【町長】

「……地下?」

 ずっと後ろで再会を見守っていた町長や大人が、ざわめきだした。

【亜弥】

「は、はい。場所は上手く伝えられないのですが……森の中に、古く使われていない工場があって、その中の巨大な穴が、地下に繋がってたらしくて……」

【英】

「私達、多分その地下に落ちたんです。土砂崩れというか、地盤沈下に巻き込まれて……」

【大人】

「地下……? この島に? そんなの聴いたことねえぞ」

【大人】

「そんな工場なんて、森の中にあったか……?」

【英】

「ほ、本当なんです……!」

【四粹】

「そうですね、間違いありません。あの洞窟は間違いなく人の手で掘られたもの。そしてその先の研究所も……」

【深幸】

「ま、待ってくれ! ちょっと展開が目まぐるしくて、俺だいぶ混乱してるんだ……!」

【町長】

「町長も、混乱しています。えっと……このミマ島の下に、何があったんですか?」

【四粹】

「……一言で申し上げるなら、悪魔研究所、ですか」

 彼が何を云っているのか、誰も理解できないし、混乱もする。しかし彼は平静、いつも通りの冷静さを保っていた。

【英】

「え……悪魔……? な、何ですか、それ……」

【四粹】

「あの場所に散らばっていた文書を、軽く読み通してみたところ、研究所で行われていた研究内容やその考察を知ることができました。正直理解したとは云いがたいですが……」

【町長】

「……悪魔研究所……悪魔が、いたんですか」

【亜弥】

「それは……」

【英】

「それっぽいのが、居ましたね……」

 英副会長が、何かを思い出したのか身体を震わせる。

【英】

「女性、だったと思うんですが……人間に思えなくて。恐ろしくて……私達、殺されるって……」

【亜弥】

「しかし何とかなった、感じですよね……あの人は、溶けてしまいましたし……」

【苺花】

「溶け……へ?」

【涙慧】

「亜弥……化け物と遭遇し過ぎ……」

【亜弥】

「それよりも、問題なのはその場所にまだ鞠さんが残ってるってことです……!!」

【深幸】

「マジか!? って、ちょっと待て、3人はどうやってその地下から、此処に出てきたんだよ? 道があるなら、普通にアイツだって――」

【四粹】

「いえ……行き止まりです。あの地下には、もう地上へ出る為の道がありません……」

【秭按】

「ちょっと待って、それじゃ本当に、貴方たちはどうやって……どうして此処に、居るの?」

【大人】

「……デカいの」

 1周回って大きくなった最初の疑問に、まず答えたのは島の安全を調査していた島民の1人だった。

【大人】

「デカいのが、いきなり港にとまって……」

【町長】

「デカいの? その、デカいのとは何ですか?」

【大人】

「分かんねえ! 分かんねえんだ、雲厚くて暗いし雨風もあったからよく見えなかった……けど、何か滅茶苦茶デカい物体が、いきなり此処に、俺ん前に現れて……それで、この子たちが!!」

【亜弥】

「そ、そうです。運ばれてきたんです……助けてくれたんです」

【信長】

「な……何だそれ、本当に一体それは何なんだ……!?」

【四粹】

「分かりません……研究所で巨大な鎖に繋がれていた、物体です。手前は一つ解釈を持ってますが……整理ができていないので控えます」

【石山】

「何かよく分からんが、要はそのでっかい何かに運ばれてきたと。動いてたんなら生き物じゃねえの?」

【大人】

「空飛んでたぞ! この子たちを降ろしたら……何か、崩れて海に沈んでいったが……」

【深幸】

「空飛んで、人を乗せてて……何か特撮に出てくる巨大ロボみたいだな……崩れて海に沈むのは見たことねえけど……」

【四粹】

「印象としてはそれに可成り近いです」

【深幸】

「マジすか!? 何でそんなハイテクなもんがこの島に眠ってんだよ!!」

【町長】

「…………」

【亜弥】

「それで……私の見た印象、なんですけど……もしかしたら、あの物体は主体的に動いていたんじゃなくて、操作されてたんじゃないかって」

【藍澤】

「操作……? 誰に、ですか?」

【亜弥】

「……鞠さんじゃないかって、私思います」

【みんな】

「「「はあっ!!!???」」」

 あまりに、現実離れした、避けられない話題が続く。

【笑星】

「か、会長そんなよく分からないけど壮大そうなことできるの!? き、“機能”ってこと!?」

【四粹】

「そのような雰囲気では、ありませんでした。第一、護真術として確立していた技術ならばとっくに行使している筈。……会長は、“彼女”を倒しました……しかしその後から、何か様子がおかしかった」

【英】

「確かに。発狂してましたし……何か、それも怖かった……」

【亜弥】

「それでも……私達を、助けてくれた。だけどまだ、鞠さんは地上に出てこなくて……もしかしたら、まだあの場所で、ひとりで何かと闘ってるんじゃないかって……」

【深幸】

「もう、理解するのはいいや、後回しでいい! アイツが生きてるってこととヤバいってことが今重要だ!」

 そう、その通り。

 生存も分かった。居場所も分かった。

 問題は……どうやって其処に辿り着くか。

【杏子】

「その飛行機能を持つ巨大な物体は、どうやって研究所から外に運んだか、分かるか?」

【四粹】

「その間、手前たちは物体に……包まれていた、というべきでしょうか、そのような状態だった為目視はしていません。しかし浴びた慣性のエネルギーから想像するに、洞窟の排水部を利用したのではないかと」

【英】

「研究所の方向と反対側ってことですよね……つまり逆走?」

【四粹】

「排水部がどこに繋がっていたのか……どこかの森か。どこかの崖か。或いは海に。そこまでは、分かりませんでした……」

【杏子】

「ッ……それだと研究所はおろか洞窟すら発見が難しい。こんな時、あのアンドロイドが欲しくなるな……!」

 と、その時――

【笑星】

「また地震!? 玖珂先輩、掴まって!!」

【涙慧】

「海に落ちる……! 亜弥!!」

【石山】

「英! ……絶対、離さねえからな!!」

【英】

「は、はい!!」

【亜弥】

「クッ――じ、地震って、こんなに怖いんですね……また、知ることができました……!」

【苺花】

「こんな時に学ばないでー!?」

【杏子】

「私に掴まれ、堊隹塚先生」

【秭按】

「! ありがとうございます。それにしても、何でいきなり地震がこんなにも――」

 ――ふと、考えた。

 この地震……果たして、自然のプロセスで発生しているものだろうか?

【秭按】

「さっきの長い地震……もしかして、玖珂くん達を運んだ物体だったんじゃ」

【杏子】

「は……? ッ――そうか!! そういうことか!!」

 巨大な物体が、洞窟を進んだ……島民や玖珂くんの証言から、可成りの速度を出していたことが推測されるから、何らかの形式による勢いの伴った移動作業により、地下に巨大な衝撃が浸透し、地上に地震という形で影響を出した。

 数分の長さは、この島を横断するのにかかった時間……今、それと同等の長い地震が起きている。つまり――

【秭按】

「砂川さんが……地上に出る」

 その結論は――

 地震が止んだ、ほぼ同時。

 暴風と雨音を掻き消すほどの爆音を空に響かせながら現れた「物体」が――

【みんな】

「「「!!!!!!」」」

機体出現

 ――証明してくれた。

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