6.39「研究所」

あらすじ

「ここは……あまり長く居るべきでは、ないかもしれません」砂川さん達、洞窟を進む。すると島らしからぬ空間に辿り着いちゃった6話39節。

砂川を読む

【英】

「……あれ?」

 懐中電灯で先を照らした稜泉の副会長が声を漏らした。

 同時に、私も気付いていた。

 道の性質が……変わった。

【英】

「さっきまでゴツゴツとした壁だったのに……」

 懐中電灯の照度を上げ、奥へと光を飛ばす。

【英】

「平面的で……人工的。十字羽区の建物とか、こういう雰囲気ですよね」

【亜弥】

「逆に島の雰囲気とは何だか合わないですね……」

 実に同意。ここは一体何なのだろう? どうやら単なる採掘場ではないのは確定だが。

 ここは島の地下……何だか、怪しい雰囲気だ。

【四粹】

「……あの工場が既に使われていなかったことを考えると、此処も今は使われていない施設と考えるべきですね」

 病院とか研究所とかを彷彿とさせる、しっかりした通路だ。但し汚れまくってて、最初白かったんだろう壁はすっかり古くさい雰囲気を獲得している。

 とはいえ、さっきの場所よりはずっと頑丈そうだ。副会長を連れてきたのはきっと正解。比較的安全地帯と思われる。

【鞠】

「進めるだけ、進んでみましょう」

【亜弥】

「はいっ」

【英】

「ところどころ石が転がってるので、注意してください」

 暫く続く、真っ直ぐな廊下をゆっくり進んでいく……。

 ……………………。

【英】

「……扉、ですね」

 行き止まり……しかし純粋な行き止まりではなく、彼女の云うように扉っぽいものがある。見た感じ横開き戸……取っ手とかが無いので自動ドアと思われる。

 だけど稜泉の副会長がドアの前に立っても何も反応は無い。電気が通ってないなら当然だが、それだと私達が困り果てる。

【英】

「……! 見てください」

 と、何かを見つけたようだ。私達の前に立ちはだかった壁の端っこに……。

【英】

「これは、何でしょう……しかし赤い光が点灯しています。何かのセンサーでしょうか」

【亜弥】

「点灯してるってことは……電気が通ってるんですね……なら、どうにかできるかもしれません」

【鞠】

「え?」

 何か案があるらしい亜弥ちゃんが、稜泉の副会長とポジションを交代してセンサーの前に立つ。

 すると、アルスを自立させて起動し何かを操作し始めた。

【亜弥】

「……………………」

【英】

「……何だろう。凄く、止めたい気分……」

 何だろう、同意しちゃう。あの子何やってるんだろう。

 と――

【自動ドア】

「ぎゅいぃいいいいいん……」

 錆びた音を嫌々しく鳴らしながら、自動ドアが開いた……!

【英】

「あ、開いた!? 亜弥ちゃん、何をしたんですか!?」

【亜弥】

「ハッキングしてみました!」

 そんな可愛い声で犯罪発言しないでもらいたい。

【英】

「は、ハッキング……?」

【鞠】

「亜弥ちゃん……その技術、一体どこで……?」

【亜弥】

「兄さんに、いざという時に、とアプリを戴きまして、直接ご指導を」

 やっぱ先輩か……私だけじゃなく亜弥ちゃんにまで……。

【四粹】

「……! 中は、電気が点いています」

【英】

「明るい~……」

 自動ドアを越えると、変わらない(といっても外と比べてだいぶ綺麗な)壁が続く。天井には電球がついていて、多分私達が入ったことで自動点灯したんだろう。

 長い廊下が、ようやく終わる……。

Stage

?????

 そして廊下じゃない、広い空間に出る。

 うちの紫上会室と同じくらいだ。天井もだいぶ高い。

【亜弥】

「島の地下に……こんな巨大な施設が……」

 先の廊下と比べて、だいぶ汚れている。何らかの液体跡。火傷跡。傷も沢山ある。

 いや、それらよりも先に目を遣るべき物体が、広い円形空間の壁に飾られている。

【四粹】

「あれは……鎖……? なんて大きな……」

 真っ黒な鎖が、クリスマスパーティーでもそこまでやんないよってぐらい壁に貼り付けられている。それは単なる飾りではなく、幾つかのめちゃ巨大な物体を巻き縛っていることから、何か役割を持っていると考察するべきだろう。

【英】

「一体何の施設なんでしょう……あれ、何だかいっぱい紙が散らばってます」

【鞠】

「……副会長。一度下ろします」

【四粹】

「はい。……異臭がします」

【鞠】

「異臭?」

【四粹】

「ここは……あまり長く居るべきでは、ないかもしれません」

 怖いことを云う。しかし同感だ。私は早く、この場所から出たいって思った。

 何なのだろう、この……内から湧き上がるような、嫌悪感は。イライラしてくる。

【英】

「……全然、読めません。古代言語でしょうか……」

【鞠】

「…………」

 稜泉の副会長と共に、落ちてる紙を拾っていく。

 全然分からない記号のオンパレードなものもあれば、普通に現代語で書かれたものも。しかしどれにも云えるのは随分酸化が進んでいて、異様に汚いこと。

【亜弥】

「見たところこの広い部屋一室ですし、結局行き止まり、でしょうか……」

【鞠】

「これだけワケの分からない場所なんです。びっくりな隠し扉とかあるかもしれません」

 これだけ沢山情報が散らばっているのだから、何か脱出のヒントがあるかも。

 亜弥ちゃんと稜泉の副会長がこの色んなモノが散乱している謎めいた場所を探索し、私と副会長が集めた紙を読み解いていく。

【四粹】

「大半は、我々の使わない言語で書かれていますね……」

【鞠】

「私達の使わない言語って何ですか。[J]でも[E]でもない言語を使う意味は……」

 歪な線が続いているようにしか見えない。そんな読めないやつと睨めっこしていても意味が無い。

 数少ない、[J]の文書を読んでいく……。

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