6.03「尾行開始!」

あらすじ

「「「むぐむぐむぐむぐむぐむぐ――」」」紫上会、見知らぬ男と歩く会長殿を追跡。焼きそばは買い食いこそが至高なり、な6話3節。

砂川を読む

Stage

櫻前区

【先輩】

「何か買い食いでもしていくかー。祭り気分に浸れるのは今日ぐらいだしなぁ」

【鞠】

「でも確か、大会終わってももうちょっとだけこの辺は余熱で酔ってますよ」

【先輩】

「何か活躍した全國選手は商品化モデルに勝手にされるらしいな。あ、ほら、アレとか」

【鞠】

「死ね星望パフェ……やっつけ過ぎる……」

     

【笑星】

「ぐ……ぐぬぬぬ……」

 2人は、余熱酔いした繁盛状態の櫻前出店エリアを歩きながら、一緒に買い物とかしていた。

 人混みもあってか、離れてしまわないよう、2人の肩の距離は極めて近い。

【笑星】

「う、羨ましい……俺、放課後一緒に帰ったことすらないのにぃ……」

【深幸】

「あの雰囲気、傍目からみれば完全にデートじゃねえか……」

【信長】

「うぅむ……だとしたら、普通に考えて、あの男は会長の知り合いということになるな……」

【四粹】

「……知り合いに誘われたのであれば、ナンパとは少し違ってくるのでは……?」

【笑星】

「いやいやいや、寧ろナンパよりタチ悪いよ!!」

【四粹】

「そうで、しょうか……?」

 知り合いだとしてもそうじゃなかったとしても、どっちにしろ鞠会長が男と一緒に歩いているっていうのは無視しがたい。

 正直現時点でショックを隠しきれないんだけど、せめて、真相を解明したい……!

     

【先輩】

「生クリームとバニラアイスの真上にたい焼きがブッ刺さってるのは、あれか、ご飯の上に箸突き刺してるのを想像してやればいいのか」

【鞠】

「私、たい焼きは頭からのタイプなんですけど……これ、アイスが堅くて引っこ抜けないんですけど……このままだと、胴体千切れるんですけど……(←ドン引き)」

【先輩】

「俺はもう千切れた。そして気付いたんだが、このたい焼き、中身あんこじゃない、イチゴジャムだ」

【鞠】

「早くあの店、酔い覚まさした方がいいんじゃ」

【先輩】

「取りあえずこのパフェは先に底部のアイスとかをある程度片付けるのが吉だなぁ(←堪能)」

【鞠】

「……パフェとたい焼き食べるなら、パフェとたい焼き個別に買って順番に食べればいいんじゃ(←堪能)」

     

 そして、どうやったら鞠会長とあんな放課後を過ごせるようになるのかを知りたい……!!

【笑星&深幸】

「「ぐぬぬぬぬぬぬ……!!」」

【四粹】

「あまり凝視し過ぎると、バレるのでは……?」

【信長】

「現時点で周りの人々の視線が痛いし、ここは俺たちも多少何か買い食いしておこう。焼きそばでもいくか」

 尾行の質を高めるため、焼きそば購入。一人前を4人で分ける感じ。

 しかし会長が気になりすぎて味がよく分かんなかった。

【信長】

「焼きそばの出店はどうしてどこにでもあるんだろうなぁ……」

【深幸】

「つーか割り箸も1つしかねえな……仕方ねえ、皆で回すか」

【四粹】

「手前は、その、結構ですので」

【笑星】

「むぐむぐむぐ……これで、俺たちは普通に出店を堪能してるただの客……誰も尾行チームだとは思わない……むぐむぐ……」

【深幸】

「むぐむぐ……せめてもう1パック買っておいた方がよかったな……むぐむぐ」

【信長】

「ん、深幸、頬に青のり付いてるぞ(←とってあげる)」

【深幸】

「おっサンクス。……って何でお前と恋人っぽいことしなきゃいけねえんだよ……」

【信長】

「ん、今のってそういう感じなのか……? 何か、すまん」

【笑星】

「今更だけど割り箸共有も間接チュッチュしまくってる感じだよねむぐむぐ」

【深幸】

「云うな。てか流石にそんなの気にするのは子ども――」

     

【先輩】

「あれ、砂川、よく見たら俺のとアイスの色ちがくね? もしかして別味?」

【鞠】

「しじみ味ですむぐむぐ」

【先輩】

「何でそれチョイスしたのかめっちゃ疑問だけど、それより味が気になるからちょっと頂戴」

【鞠】

「むぐむぐ別にいいですけど。どうぞ(←差し出す)」

【先輩】

「むぐむぐ何でお前この味にしたのホント」

【鞠】

「疲れてたので反射的に」

【先輩】

「……てかナチュナルにやっちゃったけど、今の間接接吻だな。しじみの味がする」

【鞠】

「それただただパフェの味ですし。ていうか、そんなの気にするのは子どもじみてますし」

【先輩】

「気にならないの?」

【鞠】

「……蒸し返さないでください、気に、なってくるかもなので……」

【先輩】

「期待を裏切らないなぁ。……あ、ちょっとこっち向いてろ」

【鞠】

「?」

【先輩】

「ほっぺたにしじみ付いてる。っと、これでOK(←ハンカチ)」

【鞠】

「あ、ありがとうございます……じゃあ、それ貸してください」

【先輩】

「ハンカチ? 別にいいけど」

【鞠】

「あと、こっち向いててください。……はい」

【先輩】

「お」

【鞠】

「ほっぺたに、ジャム付いてましたから。」

【先輩】

「……なんか、流石に、照れるな」

【鞠】

「…………」

     
ずずずずずず

【深幸】

「――割り箸貸せ、ずずずずず」

【信長】

「食い過ぎ、独りで食い過ぎたずずずず」

【笑星】

「俺にも、俺にも頂戴尾行がバレちゃうずずずずむぐむぐむぐ」

【3人】

「「「ずずずずずずず――」」」

【四粹】

「…………」

【周りの人】

「「「…………」」」

 あっという間に焼きそばが無くなってしまった……やっぱり味はよく分かんない。吐き気はちょっとする。

 そんな粗末な食事をしてしまったけど、その甲斐あってかバレることはなかった……会長たちへの追跡は、まだまだ続いた。

【笑星】

「はぁ……はぁ……はぁ……も、もっと……何とかもっと調べないと……」

【四粹】

「まだ、やるんですね……」

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