6.16「守れ!」

あらすじ

「真理学園って、マジ!?」砂川さん、早速仕事開始。いきなり奴とも再会しちゃう、今後の作者の疲労困憊が心配な6話16節。

砂川を読む

Time

14:15

Stage

ミマ町村部 町役所

 ちょっと遅れたけど、無事役所のホールに到着。

【紫上会】

「「「…………」」」

【作戦会議な生徒会】

「「「ひそひそひそひそ」」」

【警戒する生徒会】

「「「じーーーーー」」」

【苺花】

「ど……どどどうしよルイちゃん……(泣)」

【涙慧】

「大丈夫……何とかする……亜弥が(怯)」

【亜弥】

「わ、私なんですね……分かりました、よーし……あのー――」

【後ずさる生徒会】

「「「ざざざっ!」」」

【亜弥】

「……私、何か悪いことをしてしまったんでしょうか……」

【苺花】

「あー……いや、亜弥ちゃんがというよりは、私たちの学園が総じて悪いのかなぁって……」

【涙慧】

「腐れ学園長が悪い……」

【亜弥】

「し、しかし代表として出席させていただいた身です。何とか少しでも、真理学園の評判を上げなくては……!」

【紫上会】

「「「…………」」」

 うーん見事に予想していた通りの光景かな。

【主催】

「はい、では、皆さん集まったので、自由に活発に懇談会してくださいッ、どうぞ!!」

 司会が中々無理難題を云ってきた。いや、アレは顔色から察するに丸投げだ。ほんとどこの学園のお偉いさんだアレは。

 まあ、真理学園が出席したとなればどんな主催だろうとこんな空気にはなっただろう。何から何までこの反実仮想に価値は無い。

【鞠】

「はぁ……仕方無い」

【笑星】

「鞠会長、どうするの? この空気ってやっぱり……」

【鞠】

「無論――壊します」

 幸い、私と違って彼女には才能がある。

 まさに先輩の妹と云わんばかりの、天賦の才が……。

 だからまずは、初見の方々と比べれば抵抗は無いに等しい私が彼女と会話する中で……この場の全員に、理解させる!!

【鞠】

「あの――」

【石山】

「真理学園って、マジ!?」

 莫迦が先手を打ってきた。

【鞠】

「(オイイイイイイイイイイ!!!!)」

【亜弥】

「え? は、はい。マジです」

【石山】

「マジかーー!!」

 はい、空気がますます過敏になりました。

 それをやらかした1人の男子に、女子4人が駆けつける。多分同じ生徒会メンバーだ。

【エセヤンキー】

「ちょ、バ会長ォいきなり深層に突っ込むなぁ!! 空気をぉ!!」

【石山】

「ココアぁ、今の世、空気なんか読んでたらキリねえよ、そのうち空気に溶けて自分まで空気になっちまうよ」

【クールそうな子】

「英副会長、コイツ殴ってよろしいでしょうか?」

【英】

「いやあの、暴力沙汰まで起こしたら一瞬で出禁だから控えてください……」

 莫迦vs常識で騒ぎ出した、一つの生徒会。

 これは真理学園が怖い物という前提のもと成り立っているコミュニケーション。本人がどう思ってるのかに関係無く、ちょっかいを掛けているのと同じ。その空気が周りに伝われば……ますます溝は深まるし、当然真理学園を拒む雰囲気が固まってしまう。

【亜弥】

「……あ、あの~……」

 ああもう、イライラするなぁ……!

【鞠】

「こんにち――」

【女子】

「あーーーーーーーー!!?」

 また邪魔してきた! 今度は外野の常識陣から刺客!!

【女子】

「ど、どうしたのいきなり――!?」

【女子】

「し……四粹様!? どどどうしてぇ!?」

【四粹】

「ぇ……?」

【鞠】

「ん――?」

 しかし方向性は、全然予想していないものだった。

 しかも、

【女子】

「!? え、四粹様!?」

【女子】

「あの四粹様が!?」

【女子】

「きゃーーーー!!」

【四粹】

「え……あの……」

 一瞬で場の空気の渦的存在は、真理学園から、うちの副会長になった。

【女子ズ】

「「「きゃーーーーーー!!!」」」

【四粹】

「う……うわああぁああっ……!?」

 そして副会長、生徒会という垣根を越えた大勢の女子に囲まれ呑み込まれていった。

【深幸】

「く、玖珂せんぱーーーい!!? な、何だ、何事だコレ!?」

【信長】

「そういえば……去年も凄く女子からモテモテだったなぁ……別れ際に涙を見せる人もちらほら居たような……」

【深幸】

「ああ……玖珂先輩、本来なら生徒会引退済みだからまず此処で会えるわけないって継続メンバーは諦めてたわけだ……その分嬉しい誤算でこんな珍事に……」

【鞠】

「……ふむ」

 グッジョブ、副会長。

 そのまま彼と呆然とする男子たちを放置したまま、今度こそ対峙した。

【鞠】

「こんにちは、紫上学園生徒会です」

【石山】

「んお?」

 いや貴方たちじゃなくて。

【石山】

「紫上学園……って! 信長くんじゃーん!」

【信長】

「お、お前はよく見たら石山博樹……てことは、稜泉学園!!」

【深幸】

「マジか!! そういやさっき名前呼ばれてたな……しかも会長コイツかよ……」

 ん、知り合い……? いや、抑も稜泉って……ああ……。

【鞠】

「私に殺人ボールぶつけてきた奴だ……」

【笑星】

「落ち着いて、鞠会長落ち着いて!?」

 何て嫌な再会。てか早すぎ再会。

【石山】

「いやーまさかこんなところで信長くんと会えるなんてなー!! しっかり因縁が出来上がっちゃったんだなー」

【信長】

「いきなり慣れ慣れしいな、稜泉のドラゴンバレット……」

【井伊】

「信長……信長って、もしかして紫上学園野球部の魔王信長!?」

【深幸】

「何か凄え異名持ってんだなお前……」

【信長】

「いや知らなかったんだが……何だそれ、いつの間に俺魔王になったんだ……? 悪いこと何かしたか?」

【石山】

「MVP取った奴には大体二つ名がつくもんさ。いっつも追い込まれてからコッチを絶望に叩き込む性根の悪さ、甲子園の怪物を越えた何かの化身だ、間違いない」

【信長】

「諦めが悪いと云ってほしいものだがな。しかし本当に、こんなところで相見えてしまうとは」

【石山】

「また試合する?」

【信長】

「人数が全く足りないし、今は生徒会だろお互いに。で……どうして石山は率先して真理学園さんに話し掛けたんだ?」

【石山】

「悪かったか?」

【信長】

「いや、悪いってことはないんだが……」

 ……取りあえず稜泉の莫迦の相手は紫上の天才ばかに投げるとして、私はようやっとって気持ちで今度こそ彼女に到着する。

【鞠】

「あの……亜弥ちゃん、ですよね」

【亜弥】

「え……? ぁ――ええ!?」

 気付いたようだ。

 この子ならば私のようなモブも一瞬で判別するかもと多少期待みたいなものはあったけど、どうせ先輩から私の事は何も聴かされてなかったろうから、理解が追い付かないのも無理はない。

【亜弥】

「ど――どうして……どうして、鞠さんが……」

【苺花】

「え……亜弥ちゃん? 知り合い、なの――?」

【亜弥】

「知り合い……ですし、それ以前に――」

【鞠】

「それ以上はもっと面倒な騒ぎの引き金になるので沈黙をお願いします」

【苺花】

「……??」

【鞠】

「兎も角、今は貴方がたの状況を改善しなければなりません。それは肌で感じてくれていますね」

 ……副会長を囲んでいる人達もだし、何より呆然してた男子たちは既にまたこちらに注目している。亜弥ちゃん達の代わりに私の背中に視線が滅茶苦茶突き刺さってる。

 こんな恐ろしいモノを、先輩の大切な存在に向けさせたくない。

【笑星】

「鞠会長、こっからどうするの?」

【鞠】

「真理学園というのは、それだけイメージが確立されている。それを……揺さぶればいい」

【深幸】

「そんなの……どうやって」

【鞠】

「……亜弥ちゃん、今から紫上学園の我々が……副会長は多忙なので放置して、4人で自己紹介します。それについて……特に何も考えなくていいです、テキトウに相槌を打ってください」

【亜弥】

「え……は、はい」

【石山】

「何かよく分からんが、俺らも紹介させろー」

【英】

「え、私たちもですか!?」

【石山】

「だって親睦会だし」

 的を射ている。そう、親睦会。情報を交換することで互いの未知部分を和らげ、その分距離感を縮めようとする時間。だからまずは情報を公開すること。

 何か稜泉の2人も乱入してきてるが、それならそれでいい……今大事なのは、私たちが喋ることで、亜弥ちゃんの「情報」が漏れ出ていくことなのだから。

【鞠】

「じゃあ……」

 作戦開始。

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