6.10「必ず」

あらすじ

「必ず、最後にはお前の所に合流する」砂川さん、楽しい一時を終えます。そして次回から本当の6話が始まるのであった。せいぜい10節でほのぼのしているがいい!

砂川を読む

Day

8/10

Time

13:30

Stage

Gate2 ポートエリア

【鞠】

「……ってことで、私は凄く不機嫌です……ッ」

 朝になって先輩は空塔に戻り、閉会式に出て、全國大会が完全に終了し、いよいよ先輩は優海町に戻る時が来た。

 乗る予定の船はもうそろそろ出航するらしいが、少しだけ先輩は時間を取ってくれたので、私はポートエリアの、念のため真理学園面子に見つからないようにちょっと船から離れた場所で先輩と会っていた。

 ……結局パジャパはできなかった……私だけ、パジャパできなかった……。

【謙一】

「その……悪かった……思った以上にパパさんと盛り上がっちまった」

 断じてパパとの附き合いをさせるために呼んだわけじゃなかった私、流石に怒り心頭だった。

 まあ……正直あのメイドのいる手前簡単に実現できるとは思ってなかったけど。奴とはまた暫く口を利かないことにした。

【謙一】

「真理学園に投資してくれる人だからどんな物好きなんだろうと多少不安だったんだが、普通に良い親父さんだったと思うぜ。メイドさんはちょっと分かんないけど」

【鞠】

「別に親子仲が悪いわけじゃないので、その辺は心配しないでください」

【謙一】

「ああ。……ま、砂川の周辺環境を少しでも知れたのは普通に収穫だった。あと半年ぐらいは、頑張れそうだな」

 ……半年ぐらい。すなわち来年度になれば、私は紫上会を引退していて、先輩は真理学園を卒業……どんな進路を行くのかははっきり決めてないらしいけど、管理職なんてものに就いてる今よりは自由時間も増えて、私の所にも来てくれるようになるはずだ。

 ……私は卒業しても、一峰の政策で方向性が決まってしまうから、自由とは云い難い。私から先輩に会いに行く見通しは立たないだろう。

 まぁ、取りあえずは半年だ。

【鞠】

「……半年ぐらいしたら、先輩は迎えに来てくれるかも……そう思ってていいんですか?」

【謙一】

「思ってくれてていいけど、事情が変わる可能性は大いにある。俺も……今回の全國大会で、一つやるべきかなって事、見つけたかもしれないから」

【鞠】

「そう、ですか。……先輩らしい回答な気がします」

【謙一】

「……でも必ず、最後にはお前の所に合流する。そこは、忘れないでくれな」

【鞠】

「……忘れちゃいけないのは先輩の方だと思います」

 忘れるわけがないのだから、私は。

 その言葉が、この先半年を全うする基台となるのだから。

【鞠】

「……先輩、時間です」

【謙一】

「あ、本当だ。……じゃあ、元気でな。眼、ホント無理すんなよ」

【鞠】

「先輩こそ、胃薬飲みすぎないでくださいね」

 お互いの身体を労りつつ……ご褒美の時間の終わりを確信する私。

 と、去りつつあった先輩が、再び私を向く。

【謙一】

「そうそう、それと……亜弥のこと、よろしくな」

【鞠】

「はい? ……はい」

 ……それを最後にして、先輩は振り向かず去って行った。

 先輩の戦うべき場所は、未だ彼処なのだから。

【鞠】

「…………やっぱり、妹には勝てないか」

 妹思いなのは別に全然良いけど……他の女性の名前を出すのは、あまり褒められたものじゃない気がする。

 なんて云っても無駄な気もするから、じゃあ無駄な思考ってことでいいだろう。私も帰ろう。

【鞠】

「そろそろ……あの人に会わなきゃいけないのか……はぁ~……」

 私にも、仕事があるのだから。

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