4.04「照らしてくれる人」

あらすじ

「明日から暫く学園に泊まり込む予定です」砂川さん、元気チャージ。キャラページもちょくちょく更新してますので、予習復習の意味もかねてお覗きくださいな4話4節。

砂川を読む

Time

21:00

Stage

砂川家 鞠の寝室

【鞠】

「――ってことで、めっっっっさ忙しいんですけど……これどうしたらいいですかね?」

【先輩】

「― ………… ―」

 夜、また先輩に電話をかけた。

 愚痴8割。相談2割。

 この忙しさを分かってくれそうなのは、先輩ぐらいだろうと――

【先輩】

「― 砂川くん ―」

【鞠】

「はい?」

【先輩】

「― 多分もう俺より遙かに君忙しい身だから何もアドバイスできそうにありません ―」

【鞠】

「はい!?」

 ――先輩よりも忙しいのが発覚した。

 あ、あれー……? 私何で転校したホントー……?

【鞠】

「いや、だって先輩と私って同じような立場じゃ――」

【先輩】

「― 確かにそんなこと云ったけど、俺たちは権力を持っていて我が儘を通せるってだけで、その分働く義務とかは持ってないわけよ。寧ろ丸投げ。その代わりに一般学生に襲われる恐れもあるんだけどさ ―」

 その割には先輩雑用押し付けられまくってたじゃん……。

【先輩】

「― だけど紫上会の場合は、社会を先導する者を育てないのか、過剰なほどの労働を紫上会に与えてる。紫上会にはそれだけ学園から、そして企業から期待されてるんだろうけど、本来教師がやることの大半を紫上会の学生がやってる。しかも今年度は……お前がひとりで全部やっちゃってるんだろ? ―」

【鞠】

「あー……」

【先輩】

「― 紫上学園のシステム6割、お前の自己責任4割って感じだな。いやほんと、ソロプレイはキツいだろ ―」

 先輩の意見はごもっとも……ではあるけど。

【鞠】

「仕方無いでしょ……周り全員、敵なんですから」

【先輩】

「― ……仲間なんて要らない、てか ―」

【鞠】

「私に必要充分なものは既に揃っています。だから……それ以上、欲しくないです」

【先輩】

「― ……そっか ―」

 ……あまり先輩をこの方向で悩ませたくはないな。

【鞠】

「それに、仕事をひとりでやっちゃうのは先輩も同じですし」

【先輩】

「― あー、まあある意味そうだわな……またお揃い増えたなぁ ―」

【鞠】

「といっても先輩のようには絶対なれないでしょうけど」

【先輩】

「― ほう。それは何で? ―」

【鞠】

「私は先輩と違って、キラキラしてないみたいなので」

【先輩】

「― キラキラ? 何じゃそりゃ ―」

【鞠】

「ウチの会計がそう云って五月蠅くて邪魔なんです。私は人の上に立つには煌めきとやらが足りないと」

【先輩】

「― 随分辛辣な評価じゃん ―」

【鞠】

「まぁ、別に良く思われるつもりはないし敵のことなんてどうでもいいですけど」

 ただ、私が思うに、先輩は確実に煌めきを持っている人だと思う。

 何千という敵を支配し……やがて、敵じゃなくしてしまう。光となって人を引き寄せ、真理学園という巨大なひとまとまりの力を形成してしまう。それがあったから、あの災害を乗り越えられたんだと思う。

 ……私には、あのようなことは出来やしない。チャラ男が云いたいのは、もしかしたらそういうことなのかもしれない。それならば、同意もできる。

【先輩】

「― ……どうだかね ―」

【鞠】

「先輩?」

 けど、煌めく先輩は……本人たる私とは、ちょっと違うようだった。

【先輩】

「― 人の見え方なんて沢山あるんだし、光ってるかどうかなんて色んな角度から観察してみなきゃよく分かんないだろ ―」

【鞠】

「……私にも、キラキラしてるところはあると? 自分で云うのもなんですが、相当な芋女ですよ私は」

【先輩】

「― いいじゃねえか、芋女。無駄に飾られても目が疲れるよ ―」

【鞠】

「……そう、ですか」

 そういえば……先輩の好みというか、性的指向は確か――

【先輩】

「― んー、兎に角だ。もし輝いてなくたって、お前曰くキラキラしてるらしい俺が照らせばいいだけなんだしさ。特に大きな問題じゃないだろ ―」

【鞠】

「ッ――!」

 …………。

 ……まったく、そういうことを突然云うから貴方は……

【鞠】

「そうですね。そうしてもらいます。だから……はやく、私の隣に来てくださいね」

【先輩】

「― ああ。……ん、どうした? いや違うって、ナンパじゃないって。……兄妹会議が急遽始まりそうなので、切るわ。頑張れよ砂川 ―」

【鞠】

「あ」

 切れた。

 相変わらず仲の良い、良すぎる兄妹で何よりだ。

【鞠】

「……先輩が私に合流してくれるまでの間、頑張ればいいだけ」

 別に、決して長い孤独なんかじゃない。私は決して独りではない。

 なら寂しがる必要なんて、全くない。敵がどれだけいようと、問題無い。私には既に、必要充分が揃っているのだから。

Stage

砂川家 リビングルーム

【テレビ】

「― 朽ちろ――八咫烏 ―」

【テレビ】

「― おのれ……セイレーンのなり損ないがッ!! 貴様が辿るのもまた、我らと同じ道であろう!! ―」

【テレビ】

「― 同じ道など、存在しない。ボクには……ボクの道が在る。誰とも交わることのない……砂漠の道だ ―」

【汐】

「いけーー!! やっちゃえナミダーーー!! でもちょっと悲愴過ぎるナミダーー!!」

【兵蕪】

「お前は独りじゃないぞナミダーー!! 絆を諦めるなナミダーー!!」

【鞠】

「パパ」

 リビングルームでメイドとパパが一緒にドラマを見ているのを発見する。

 ……その盛り上がり方はキッズにしか見えない。

 あとキッズ向けの特撮ものなんだろうけど、聞こえてきた台詞がキッズ向けじゃない。まあそれはいいとして……

【兵蕪】

「おお、鞠ちゃん! パパと一緒にナミダを応援するか!」

【汐】

「いえいえお姉ちゃんと一緒にナミダを!!」

【鞠】

「興味無いです。それよりも、明日から暫く学園に泊まり込む予定です」

【兵蕪】

「……え? 何日?」

【鞠】

「そうですね……確実に2週間ぐらいは」

【兵蕪&汐】

「「2週間!?」」

【鞠】

「全く家に戻らないわけではないですが、夕食の場に私が居ないことを承知ください。あとシェフらにそのことを伝えておいてくださると」

【兵蕪】

「……2週間も……鞠ちゃんの顔が、見れ、ない……(←痩)」

 一瞬でダイエットしてしまった。凄い技術だ。

【鞠】

「それから……」

【汐】

「お、その視線はお姉ちゃんにお願いごとかなー!!」

【鞠】

「いや、やっぱり何でもないです。別の誰かに――」

【汐】

「頼って~~~お姉ちゃんを頼って~~2週間分の潤いを私にください~~!!」

 抱きつくな。

【鞠】

「……敷地内にグラウンド場があるでしょう? そこにあるものを置いておいてほしいなと」

【汐】

「ほう、それは一体?」

 ……………………

【汐】

「え……? ちょ、鞠……マジで一体何するつもりなんですか、そのラインナップ……思いつくものがあるんですけど、嫌な予感思いつくんですけど」

【兵蕪】

「鞠ちゃん……? 何か、学校で何かあった?」

【鞠】

「別にたいしたことは何も」

 云うべきことは云ったし、戻って勉強でもしとこうかな。

 ……………………。

     

【汐】

「……この時期、てことは……ああ、アレですか……いや、でもアレでそこまで張り切る性格でもないような――」

【兵蕪】

「ん、何か思い当たるものが?」

【汐】

「紫上学園は、ことあるごとに熱くなるところですからね☆」

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