3.16「ハッキリ」

あらすじ

「それでお前ら幸せなのかよ!! お前ら……笑えるのかよぉ!!?」笑星くん、己の曇りを晴らします。寝る時も気道確保の点で横向けな方がいいらしい3話16節です。

砂川を読む

vseboshi

Stage

1号館

 職員室から、連絡通路を使って、1号館に。

 それで……えっと、北側階段で、1Fに降りればいいんだよね?

【笑星】

「会長、何があるのかとか全然教えてくれなかったけど……」

 俺でもできる仕事、なのだろうか。

 ……俺なんかに、できるんだろうか。

【笑星】

「俺は……皆の為に、何が……」

 降りる。

 降りる。

 降りる……。

     

 そして――

     

【笑星】

「…………え――?」

 見つける。

 悟る。

 会長が云っていた仕事は――

【笑星】

「邊……見……――?」

 親友を、見つけることだったんだ。

 踊り場にグッタリと倒れた、親友を。

【笑星】

「邊見ぃ――!?」

 一気に駆け下り、身体を抱く。

 それで……身体の下に血溜まりができているのにも気付いた。

【邊見】

「――――――――」

【笑星】

「ッ……頭、怪我してるの……!?」

 頭が真っ赤だった。出血しているとしたら、頭部からで……

 場所から考えて、転落したんだ――

【笑星】

「――もしもし! 姉ちゃん!?」

【秭按】

「― ……学園では先生と、なんて云ってる場合じゃなさそうね。どうしたの? ―」

【笑星】

「救急車呼んで!! 邊見が頭から血を流して倒れてる!! 意識も無い!!」

【秭按】

「― ……! 分かりました。場所を教えてください、保健医や数名の教師を派遣します ―」

【笑星】

「1号館の北側階段、1~2Fの踊り場に! ……俺、何かしておくべきことある!?」

【秭按】

「― 仰向けにしないように。のどに舌が落ち込んで窒息を引き起こす恐れがあります。回復体位は分かりますか? ―」

【笑星】

「……! 知ってる、保健の授業で、徹底的に頭に叩き込んだから!!」

【秭按】

「― 無理はしないで。すぐ向かうから……邊見くんの側に居てあげて ―」

 通話を切って、しっかり保健の授業を思い出し……仰向けだった邊見の姿勢をゆっくり調整していく。それから、出血が続いている場所を発見して……ハンカチで抑える。

【学生】

「――!? な、何だよあれ……血!?」

【学生】

「あれって……確か、実力試験で勝った1年じゃ――」

【学生】

「それに、堊隹塚まで居るぞ――」

 背後、上から何か声が聞こえてくるけど――視界は変えない。

 俺がやるべきは……今、コレだけだから。

【笑星】

「……邊見……」

 ……また、俺は、この前みたいに嵌められたんだろうか。

 今度は、俺が邊見を突き落としたと、皆に非難されるんだろうか。

 ……そんなの。

【笑星】

「幾ら何でも、やり過ぎだろ……」

【秭按】

「笑星!!」

 担架を持った先生たちが到着した。確かに、早い。

【秭按】

「……この出血量を考えるに、そこまで時間が経ってないわね。救急車は正門から入ります。先生がた、安全に搬送お願いします」

 ゆっくり邊見を、担架の上に載せて……先生たちが、息を合わせ慎重に階段を降りていく。

【秭按】

「笑星、貴方は――」

【笑星】

「ごめん。俺、ここに残る」

【秭按】

「……分かったわ」

 もしかしたら、会長は……ここまで全て、見据えていたのかもしれない。

 だとしたら――ここからを、問われている。

 俺は、どうするのかを。

【学生】

「「「…………」」」

 先生たちが視界から去って……校舎から出て行くのを待って。

 それから、俺は、ずっと俺を見下していた人達へ――

【笑星】

巫山戯んな!!!

 叫ぶ。

【学生】

「「「!?」」」

 血に濡れた手を、握りしめて。

【笑星】

こんなことして、楽しいのかよぉ!!!

 親友の倒れていた景色がちらつきながら。スプレーで塗れた体育倉庫も思い出しながら。

【笑星】

他人をこんなに傷付けて、それで紫上会に入って!!!

 思った全てを。俺自身のことを忘れて――

【笑星】

それでお前ら幸せなのかよ!! お前ら……笑えるのかよぉ!!?

 そのまま、ぶつける。

【学生】

「「「…………」」」

【笑星】

「――俺は絶対に、絶ッッッ対に、紫上会を辞めないからな!! こんなことするお前らに、絶対認めさせる!! 認めてもらう!!!」

 ハッキリと、今なら云える。

 今まで、何度もブレたけど。諦めかけたけど。俺自身、足りないものだらけだけど――

【笑星】

「俺は、皆に恩返しするために!! 皆を笑顔にするために此処まで来た!!!」

 ハッキリと、云う!!

笑星覚醒

【笑星】

紫上会、雑務――堊隹塚笑星だぁあああ!!!

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