2.11「ひとりで」

あらすじ

「手前たちは……“敵”だから、ですよ」砂川さん、その時を待つ。11節にて2話は終了し、プロローグも終了といっていいと思います。次から3話、具体的な話へと入ってきます。

砂川を読む

Time

16:30

Stage

霧草区

【鞠】

「…………」

 テキトウにその辺のベンチで寛いでいたら……

【車】

キュキュキュキュキュキュッッッッッ!!!!

 交通法が黙ってなさそうなドリフトで目の前に車が停まった。人の姿ないからよかったけど、目立つからやめてほしい。

【汐】

鞠ぃいいいいいいい~~~!!!

 そしてサイドブレーキそのまんまで外に出てこないでほしい。

【鞠】

「ちょっと車動いてますよ。早くブレーキかけてください」

【汐】

「鞠ぃいいいいいよくぞご無事でえぇええ~~~……」

 もう今日は喧しいのは御免だった。

Time

20:00

Stage

砂川家 ダイニングフロア

【兵蕪】

鞠ちゃあぁあああああん~~~!!!

 喧しいのは御免だといってるのに。

【鞠】

「4日程度晩餐に出席しなかっただけです。今までだってそれ以上の期間家に帰らなかったことあったでしょう」

【兵蕪】

「そのそれ以上の期間家に帰ってこなかったイベントね、たいていカタストロフィーに見舞われてたやつだから!! 心配しないわけないでしょーパパがあぁあああ(泣)!! よかったああぁああああ(大泣)」

 大人がガチ泣きしていた。

【鞠】

「紫上会の仕事をしていただけです。大して危ないことになど見舞われていません」

【汐】

「……この前ヤンキーに首掴まれてたじゃないですか」

【鞠】

「あんなの危ないことに該当しません」

【汐】

「鞠……あんな弱々しくて守ってあげたい系の鞠がいつの間にか訓練されていた……一体いつ、誰がそんなことを……ッ」

 十中八九それは先輩。勿論云わない。

【兵蕪】

「――ん? 紫上会? 鞠ちゃん……紫上会、入ってるの?」

【鞠】

「? はい……」

【兵蕪】

「えぇえええ!? あらそう、実力試験で勝ったんだ……準備ゼロで試験だからそれはないだろうなって思ってたんだけど……」

【鞠】

「……………………」

 この人はしっかり実力試験のことを知ってたということだな。

 暫く口を利かないことにした。

【鞠】

……………………(怒)

【兵蕪】

「ま、鞠ちゃんがッ!? 誰とも口利かないフォームになってる、どうしてだ――!?」

【汐】

「きっと兵蕪様が余計なこと云ったんですよー!! 鞠ちゃん、せめてお姉ちゃんとは~……(泣)!! 寂しかった分お喋りしてくださあぁあい……!!」

 ……………………。

 ……………………。

 ……………………。

     

 ……それから、数日を過ぎる。

 私には特に鮮明に記憶残っている場面というのは全然無いが、変化が起きているのは感じた。

 何の変化か?

【学生】

「……これ」

【鞠】

「……確かに。受諾しました」

 足掻きを諦める人達が、ちらほら見えてきた、といった変化。

 それはある程度の人数をひとまとまりに、「誓約書」というやり取りで確定されていく。

 元々学力云々を謳う前から紫上学園は部活が盛んだったらしい。数は多くないが、その分一団体に沢山の人数が所属し、真剣に活動に取り組む空気が確立されていた。

 だから尚更、それは捨てられないものだったのだろう。たとえ、気にくわない私を認めるという決断をしてでも。

【鞠】

「……どんだけ、私には魅力がないのか」

 まあ矢張り私そのものより野蛮な学園とかいうレッテルが臭いを放ち過ぎている、というのは相手方の反応を見ていれば嫌でも分かる。相容れやしない。仲良くなんかなれない。

 そして仲良くするつもりも全くない。私は貴方たちを許さないのだから。

Day

4/19

Stage

紫上会室

 貴方たちは、敵だから。

【深幸】

「……これで、8割以上の部活は誓約書を書いたか……野球部は?」

【信長】

「……変わらず、だ……」

【深幸】

「……おいおいおい。それじゃあ甲子園の予選にも出れねえじゃねえか……」

【信長】

「…………」

【笑星】

「んー……砂川先輩~、何か仕事ない?」

【四粹】

「笑星さん、その……あまり、そう積極的になられない方がいいやもしれません」

【笑星】

「え、何で?」

【四粹】

「手前たちは……“敵”だから、ですよ」

 私の道を阻害するなら、これからも当然、容赦するつもりはない。誰にも私の足を止めさせやしない。

【鞠】

「やること全部終わったし……暇……帰ろっかな……」

【笑星】

「…………」

 私は、1人で、先輩を待つのだから。

 ――油断するな、その時まで。

 達するまで、砂川鞠は道を之く。

 ……砂川鞠は、笑わない。

     

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